「でもS女でしょ?…ねぇ」
「ねぇ。アツの彼女なのにさ」





その場の和やかな雰囲気を壊す女の子達。そうだよね。そう思うのも当たり前……







-ゴチン、ゴチン!-




「きゃあっ」
「痛ったぁい!」








鈍い音と頭を押さえる女の子達。何?







「ばっかだなお前ら。好きになんのにそんなの関係ないだろ」
「大体今までアツといて気付かなかった?まともにアツが構ってた奴いたかよ」






グーを握ったまま呆れ顔の男の子。どうやら女の子達に拳骨したらしい。な、なんで拳骨?ガチンコ!?






「それにさぁ、見てみろって」





もう一人の男の子がポンとアツ君の肩を叩く。







「アツから女の子の肩抱いてんだろ。お前らしてもらったことある?」


「ない…けど」


「だろ?腕組むのだって手ぇ繋ぐのだっていつも女の方からだったんじゃねぇの?周りに腐るほどいても一回も執着見せたことなかったアツが、初めて後ろ姿見えなくなるまで目で追ってたんだぜ。そこまでアツを本気(マジ)にさせたのはこの娘が初めてだって事だよ。わかったか?」




そうなの?こうやって肩抱いてくれるのは私が初めて?私アツ君の初めてが貰えたの?



「それにあんだけセットしてた髪バッサリこれだぜ?何かの覚悟の表われだろーが。全部彼女の為じゃねーの?」




見上げると…アツ君と目があった。照れたような恥ずかしそうな顔で『そうだよ……』と呟いてる。




「ん~でもぉ……」
「お前らが納得しなくても現実そうなの!もう諦めろ!はい。邪魔者は退散退散」



まだ腑に落ちないような顔の女の子達を押しながらニコニコ手を振って行ってしまった。







残された私達二人。






「ごめん。うるさい奴等で」
「ううん。いいお友達だね」
「あぁ、腐れ縁てやつ?」