「俺…最低だな」
「違うよっ。最低なのは私だよ!」
つい口をついて出てしまった言葉を両手で塞いで慌てて飲み込む。
「え?…マコ?」
両手で口を押さえたまま、フルフル首を振る。
その手をアツ君にそっと外される。
「悪いとこはなんでも直すから…話して?」
その心配を含んだ目で見つめられたら…逆らえない。カタカタ体が震える…。
「キス………」
「そうか……嫌だったか。ごめん」
「違うのっ…」
「………?」
私の本性知られたら、今度こそ本当に嫌われちゃうかもしれないよぉ。
でも…そんな目で見ないでぇ!
「あの………ね」
「ん?」
「……………の」
「ごめん。もう一度」
余りの私の声の小ささに(それでもかなり頑張ったんだけど…)、私の唇に耳を寄せる。
意を決してその耳にそっ…と囁く。
「……よかった…の」
「………っ!?」
ピクッとわずかにアツ君の体が動いたのに、必死な私は全然気付かなかった。
「多分…気持ち……よかったの…………変だよね。ファーストキスなのに……そんな気持ちになるなんて…」
恥ずかしくてショックでアツ君の目が見れない。
「引いたでしょ。幻滅したでしょ………自分でもショックで……もう嫌……い……!!」
最後まで言い終わらないうちにアツ君の胸に強引に抱き寄せられ、ギュッと強く抱き締められる。
そして何がなんだか分からないうちに、少し荒っぽくアツ君の唇が重ねられた。
-な…何!?-
さっきのキスより荒っぽくて強引で……食べられちゃうかと思うような。でもそれは恐怖を感じるものじゃなく、このまま身を任せてていいと思える安心感があった。想いがこもってる気がして幸せな気持ちが溢れて来る…………