「マコの気持ち聞かせて?」
アツ君の言葉に何故か涙が止まらなかった。
本当に言ってもいいの?一度は諦めた私の気持ち。言った瞬間、夢から覚めてしまうんじゃない?
涙もあって、なかなか言葉にならない。
その間、アツ君はずっと私の頭を撫でていてくれた。すっぽり包まれる暖かい大きな手。
ゆっくり髪が梳かれる度に、しなやかな指から気持ちが伝わって来るみたい。
その行為が心地よくて、不謹慎なのになんだか眠たくなって来ちゃった。
いつの間にか涙が止まっていた。
今なら言ってもいいかな。呆れないで聞いて貰えるかな………
「アツ君、あのね………」
「ん?」
「私……ずっと不安だったの。アツ君みたいに素敵な人が私みたいな平凡で地味な子、本気で好きになってくれてるのか。私とアツ君じゃ容姿も学力も釣り合わないよね。並んで歩いててもきっと周りからはアツ君が笑われちゃう。
アツ君沢山女の子と付き合った事あって経験豊富なのに、私は男の子と付き合った事無いから。何をどうしていいかわからないし……我が儘言ったらウザイと思われるんじゃないか。アツ君が楽しい話も面白い場所も知らないし、笑える冗談だって言えない。つまんない奴ってすぐ飽きられちゃうんじゃないかって思って、それで………」
チラッとアツ君を見上げる。
-あ、あの顔だ…-
いつもの笑顔。でも目を細めて愛しそうに見つめてくれるその顔が好き………
「好きだって言っちゃいけない気がしてたの。言ったら夢から覚めてアツ君が遠くに行っちゃいそうで……」
-フワッ……-
「アツ………君!?」
優しく包み込むように抱き締められる。
広いアツ君の胸。
フッと香るアツ君の香水。
暖かい体温に混じって耳元に響いて来る心臓の音……。
私のバクバク言ってる心臓の音も、聞こえちゃう?