あの時と同じだ。




泥だらけのずぶ濡れで、猫を抱いて俺に微笑みかけてくれたあの時と……同じ――――





-やっぱ俺、マコのこと好きだぁ……-






「きゃあっ!」
「こらテメッ……!」





マコの悲鳴と彬良さんの声。





俺はつい無意識に、マコを猫ごと抱き締めていたんだ………。




「あ、ごめん……つい」




マコから身体を放す。あ~ぁ、やっちゃった。俺ってほんと馬鹿。今まで理性でなんとか押さえてたのが全部パァじゃん。






「てめぇ、篤~!俺の前で妹に触りやがって…………」






ヤバい。彬良さんにコロされる…もしくは半ゴロし…じゃなきゃ寝技決めて落されるとか!?





「もぅお兄ちゃんたら!私のお客さんだよ。アツ君私の部屋行こ!」

「え?あ、…はい」





なんだ?マコが珍しく積極的だぞ??
嫌じゃなかったってことか…!?







マコの部屋は二階。
先に戸を開けて、招き入れてくれた。



サーモンピンクと白とウッドを基調にした可愛らしい部屋。





「どうぞ、座って」




進められるままに部屋の中央にあるテーブルの前に座る。




猫を放して、向かい側に腰を下ろしたマコは何故か下を向いたまま……





「どした?」



「アツ君、ごめんなさい。私なんかと付き合ったから沢山アツ君に迷惑かけちゃった」





ここまできてもまだ俺に気を使うのな。




「いや、俺こそ昨日はホントごめんな。俺がちゃんとはっきりさせなかったからマコに嫌な思いさせた。でもこの頭は俺が勝手にやったんだし、マコが気にする必要ないよ」


「でも…………」


「なぁ、マコ」




テーブルの前から離れると、マコの前に移動して両手を握る。

俺の手にすっぽり収まる位小さい手………





真っ直ぐマコの目を見るけど、マコは俯いたまま。