-ドキドキ……-





「えっ!とぉ………はい」





バレてるよ。つうか俺、どうなっちゃうんだろ………





『……俺言った筈だよね?気安く近付いたら………どうするって言ったっけ?』

「いやっ……あの、明日ご挨拶に行く予定だったんです」


『じゃあなんで真琴泣いてんだよ!』

「泣いてたんですか!?」

『お前が泣かしたんだろうが!』



マコが泣いてるって?

今すぐ行って抱き締めてやりたい。大好きな事を伝えて安心させてやりたい。


『大体、お前の女に対するだらしなさは常々気に入らなかったんだ。とっ換えひっ換え違う女連れやがって!あれだけ妹に近付くなと……』

「待ってください!俺、マコに本気なんです!最初は一目惚れだったけど……ちゃんとマコの中身も好きだって分かって貰いたい!」


『てめぇ!………』




彬良さんが何か言いかけた時だった。





-……お兄ちゃん?誰かと電話?…-




電話口の向こうでマコの声。




『とにかく、自分の周りだけ整理すれば良いってやつには任せられないからな』





-ガチャッ…ツーツー……-




………一方的に切られた。




受話器を置いてベッドに寝そべる。





じゃ何?俺は自分の周りだけ整理した?つうか整理すらしきれてないじゃん。女の子達の腹立ち紛れの攻撃でマコを泣かしてしまったのは事実で………。





マコにすっかり嫌われたかな。
今までの報いか?いや、神様。悔い改めますからどうか俺からマコを取り上げないでください。





-コンコン……-





「篤、彬良くんになんか言われたの?」

「ん~………」




姉貴はズカズカ部屋に入って来てベッドに腰を下ろした。





「電話口でね、凄い神妙な声で話してたよ。大事な妹がタラシの魔の手にかかったって…」