「お前達いい加減にしておけな~」



それに関してはアツ君も触れない。軽い注意を促す程度。
誰と間接キスしてもアツ君達にしたら挨拶みたいなもん?







-この娘アツ君と………間接キス…-






頭の中はそればっかり。




勝ち誇った彼女の顔を見たら、惨めで涙が込み上げて来た。




厚かましいけど



おこがましいけど





アツ君は私のもので居て欲しい――――







「あ…………あの、私帰るね」

「マコ?」




鞄を持って立ち上がる。
席から離れようとすると、目の前に2人が立ちふさがる。








「待ちなよ」
「アツはねぇ、皆のものなんだから。あんたみたいな地味子が一人で独占出来る男じゃないんだよ?」




私より大きい娘達。威圧感に負けて後ろに一歩下がった。




「つうかあんたがいるから私達とも誰とも連絡取らないし遊びは断られるし………いい加減ムカつく!」
「今までのアツの彼女達は可愛いかったからしょうがないけどさ………あ~もぅ、ムカつくからあんた今ここでアツと別れてよ!」





-あぁ、やっぱり周りからは認められないんだね。アツ君と私じゃ釣り合わないんだ……-





やっぱりアツ君を好きになっちゃいけない。好きになったら傷つく。





予感は当たってた気がするよ………








-バァァァン!!-






落ち着いた店内に響き渡る打音。ビックリして店内が一斉に静まり返る。




音の出所は……グーで思い切りテーブルを叩いたアツ君だった。





「………俺、いい加減にしておけって言わなかった?」

「やっ……ちょっと!アツ!?」





アツ君ポケットから五千円をテーブルに置くと、両手で女の子二人の腕を掴むと店の外に引きずりだした。