「真琴~!校門見てみ~。また誰かの迎え来てるよ。それがさ、すっごいイケメンなの☆」
私が通うのは都内でも普通のランクの女子高。あまり出会いが無いから、時々お迎えに来る誰かの彼氏の値踏みするのが恒例。
既に数人窓辺で黄色い声を上げてる……。
-今回のはそんなにカッコいいんだ~…-
ほんとはあんまり興味ないけど、付き合い悪いって思われたくないから三階の窓から校門を覗く。
校門脇に寄り掛かって気怠そうに空を見上げてる。
フワフワの茶髪。
かなりな目立ち方をしてるけど……………えぇ~!?
「アツ君!?」
「真琴知り合いなの?誰の彼氏よ~?」
「……………私」
「……………………………え?」
「私の彼なの…」
「はぁ――――っ!?」
一斉に注目される。
驚くのも当たり前。
私、伊藤真琴は前髪厚めの黒髪のボブ、冴えない顔。背も低いし、制服だって校則通り。クラスでだって、いるかいないかわかんないくらい存在感も無い。
男性経歴ゼロの地味子。
一方。彼、佐藤篤君は178cmのバランスがいい八頭身。フワッとセットされた茶髪、整った顔立ち、そして都内でも有名な付属高に通う容姿◎、成績◎、性格◎のパーフェクトモテモテ君なのだ。
私自身、アツ君と付き合ってるなんて未だに信じられないもん。
一か月前。学校から最寄りの駅のホームでその…告白された。
男性経歴ゼロの私にはあまりに衝撃的すぎて、混乱してたのもあってついその場でOKしてしまったんだけど………。
皆の視線が痛くて、友達にバイバイして鞄を掴むと駆け足で昇降口を出る。