大貴はいつもあたしの不安を
こうやって消してくれる。


あたしにはもったいないって思うくらい。

だからこんな幸せが
時々怖くなったりする。



「着いた。ちょっと歩く?」

「うん。」

車を出て
差し出された大貴の手を取る。



付き合い始めて学校帰りによく
2人で行ってた公園。

桜の木が沢山あって春になると
お花見で賑わう。

夜は外灯に照らされる桜を
見に来る人も多いけど
まだ満開とまではいかない
桜を見に来てる人は
ほとんどいなかった。


「なんか、懐かしいね。
最初は大貴と手を繋ぐのもまだ
恥ずかしかったし。(笑)」

「ホント。(笑)
今では当たり前に繋いでるけど。」


大貴と付き合い始めたのも
春だったなぁ。
もっと桜は咲いてる時期
だったけど。
こうやって歩きながら
沢山話したっけ。



「お互いこれから頑張らないとな。」

「...うん。」



正直、人見知りの強いあたしには
知り合いが誰1人いない所での
学生生活は今は不安一色になっていた。


そんなあたしとは違い、人懐っこい
性格の大貴は事前に行われた学校の
説明会で何人かの友達ができたらしく
やる気で満ち溢れていた。



本当なら素直に応援できるのが
いい彼女だよね?




なのにあたしはそんな大貴に
取り残されてるようで変な
焦りと孤独感を感じていた。