目が覚めると、窓の外から見つめる視線はやわらくなり、光は消え去っていた。

時計を見ると八時半を少し回ったところだ。

あー、遅刻かな……。

寝ぼけ半分の頭で考えながら、タバコとライターをポケットにねじ込んで部屋を出た。

何人かの酔っ払いにぶつかられながらもバーの前にたどり着くと、

階段を降りてPUSHと書かれたドアに手をかけ、力いっぱい押した。

ギギッと軋みながら開いたドアを潜り抜けると、

カウンターの中にいたマスターが、ほっとしたように微笑みながら近づいてくる。