「…っ……なにしてんだよっ!やめろっ!このエロジジイ!」


ふっと声のする方を向くと高校生くらいの男の子がいた。

抵抗するのが精一杯で特徴なんてとてもじゃないけどわからない。


「お願いっ……助け…て…っ!」



男の子は私の腕を掴み、駅のホームに降りた。

そして階段を上り人影のない壁と壁の間に来て私にこう言った。


「……っはぁ……おまえ…馬鹿じゃねーの…」


「……。」


「あんなに男を挑発させて楽しいかよ。」


「別に……そんなつもりじゃ…」



「いいよ、もう。俺にはカンケーねーし。

……泣いていいよ。」



恐怖のあまりに目に溜まっていた涙が、

ぽろり、ぽろりと地面に落ちる。



「ひっく……怖かった…よ…っ」



相手が男のことも忘れて、彼の胸の中で静かに泣いた。


そんな私を彼は大きな手で優しく、撫でてくれた。