更に数ヵ月後。



ブルーと出会って1年が過ぎた梅雨のある日。



ブルーの声が遠くから聞こえる。



私はブルーの特等席だった小さな座椅子に座り、ブルーが用意してくれた食事を食べる。



「女に振られた寂しそうな男の所へ行くんだぜ?」



「キュー!」



玄関が開き、いつかのような雨の中そっと旅に出る。



「俺たちを駆除しようなんて人間いらないよな?」



そうね。



ニンゲンなんて……いらない。



今私の頭の中にあるのは、優しそうな人を見つけて拾ってもらう事。



そして、大きな翡翠かえるに育つ事。



「お前が綺麗なオンナになったら俺が嫁にしてやるよ」



うん、待っててね。ブルー。



私の瞳に映る綺麗な、愛しいブルー。



そう、来年からは人を媒体にしなくたって、卵を産んで私達はこの星で悠々と暮らせるはずだ。



身を隠した公園の脇、足を止めた人がいた。