「遙っ…頑張って。」



遙は振り向くことはしなかった。


だけど…。



右手をあげてピースサインをする。




「天風、遙なら大丈夫だ。」



隣に座る陸斗が言った。



「あいつは風だ。誰にも負けない。」



陸斗が1番わかってる。


頑張っても届かないくらいの遙の実力を。


「遙…。」



みんなが祈った。


桜川のエースが“桜の風”が、競技場を走ることを──…