やはり美容院では、カットスタイリストに怪訝な顔をされた。

ワカリマス。

長さ、バラバラすぎるヨネー。
斬新すぎる髪型だヨネー。

だが、


「ペンキがついちゃって…
その部分を切ったら、こんなになっちゃったンデス。」


という菜々の言葉にすぐに納得し、笑顔になった。

コレはもうバッサリ切るしかナイね、ショートボブとかきっと似合うよ、篠○麻里子ちゃんみたいな?…

にこやかなスタイリストの機関銃トークに、菜々も笑顔で頷いていた。

彼女が本当にA○Bを知っているのかは、微妙なトコロだが。

『きっと似合うよ』

その言葉は、どうやらサービストークではなかったようだ。

○性セブンを読みながら待っていたマリーの前に恥ずかしそうに立った菜々は、別人と見違えるほどだった。

露になった、大きな目と白く細い首筋。
桜色に染まった頬にかかる、焦げ茶色の柔らかそうな髪。

相変わらずチビで華奢だが、もう男の子には見えない。

『可愛い顔立ちの女のコ』
そう言ったのはアンジェラだ。

さすが女装男子。
脱帽デス。

美女というにはまだ幼すぎる。

だが菜々は将来が楽しみだと思えるほど、愛らしい少女だった。