今にもエクトプラズムを出しそうな放心状態のアンジェラを置いて、マリーは部屋を出た。

警戒しながら辺りを見回す。

画鋲はナイ。
ナニも飛んでこない。

菜々の姿も見当たらない。

廊下には先程の爆発の名残と思われる白煙と火薬臭が漂っているものの、他にアヤシい気配は感じられない。

さて。
菜々ちゃんはドコかな?

外には出ていないだろう。
彼女の目的は逃げるコトではなく、あくまでマリーの片足をもぎ取るコトだ。

って、言っててコワいケドね?!


(俺が行きそうな場所…か?)


ドコだろ?
ドコ行きたい?俺。

今まで通過した部屋のトラップは、そこそこ発動済みだろうし…

トイレ?

いやいや…
罠師の恐怖にナニが縮み上がって、小便なんて出ねぇよ。

じゃ、お風呂?

いやいやいや…
確実に感電トラップ地獄だろ。
行きたくねェよ。

俺が行きそうな場所…
一息つけそうな場所?
安全だと考えそうな場所?


(俺の、部屋か。)


きっと菜々はソコにいる。

最後の、最大の、罠と共に。