ハイ、ただの気のせいデシタ。
引力には逆らえませんデシタ。
人は鳥にはなれませんデシタ。
俺が転落死しそうデシタ──!!
(一時のテンションで身を滅ぼすって、こーゆーコトか…)
なんとか片手で柵を掴み、色んな種類の汗をかきながら命からがらベランダに這い上がったマリーは、両手で髪を掻き上げながら深い溜め息を吐いた。
落ち着いてる場合じゃねーよ。
菜々を捕獲しなきゃ。
マリーは窓を開けて部屋に足を踏み入れ‥‥‥固まった。
「あ、おっ帰りー。」
ベッドに腰掛けてのんびりTVを観ていた様子のアンジェラが、微笑みながら振り返ったから。
「…おぅ。
ただいま。」
軽く頷きながら返事したものの マリーの脳裏を埋めるのは、コレ。
(コイツも反乱軍の一員か?)
ずっとココにいたなら、派手な破壊音は聞こえていただろう。
第一、菜々に続いてマリーまでベランダからコンニチハしているのだ。
異変に気づかないはずがない。
なのにノンキに芸能ニュース。
カモフラだろ。
工作員である疑いは濃厚だ。
さて、この部屋にはどんなトラップが…