足でドアを開けながらリビングに入ってきたマリーを見て、ソファーでのんびり再放送のドラマを観賞していたアンジェラは声を上げて立ち上がった。


「What happened?!」


「ココは日本だ。
日本語喋れ。」


マリーは眉を顰めた。
アンジェラはソッポを向いた。


「I can't understand you.」


「嘘つけ。
思いっきり、日本語ドラマ観てンじゃねーか。」


「ぅ…」


ルージュで赤くなった唇を尖らせたアンジェラは、テレビを見て、マリーを見上げて、もう一度テレビを見て…

肩を落として溜め息を吐いた。


「…ナニ拾ってきたの?」


「コイツ、助けろ。」


(自由か。)


とりあえず、質問に答えろよ。
お望み通り、日本語喋ってやったのによ。

マリーをひと睨みして彼の腕の中に視線を落としたアンジェラは、鋭く息を飲んだ。

子供だ。
しかも、様子がおかしい。

アンジェラは素早くその額に触れた後、薄い胸に耳を当てた。