初めて菜々を連れ帰った日のように彼女を横抱きにしてリビングに入ってきたマリーを見て、アンジェラは慌てて二人に駆け寄った。
ナニコレ、ナニコレ?
今日は楽しいデートのはずでショ?
「マリー、いったいどー」
「コイツ、頼む。
過呼吸だ。」
「へ? ‥‥‥コレ…」
青ざめて目を閉じる菜々の頬だけが赤く腫れ上がっていることに気づいたアンジェラが、顔色を変えた。
「ナニがあった?!」
「…
オヤジに会った。」
「??!!」
一瞬目を見開いて瞳を揺らしたアンジェラが、顔を顰めて悔しそうに唇を噛んだ。
キモチはわかるよ。
せっかく立ち直ろうとしてたのに、ね。
でもね?
前とは違うンだ。
「菜々、オヤジに逆らってた。
闘ったンだ。
だからコレは、名誉の負傷。」
マリーは唇の端を持ち上げて、少しだけ笑った。