ピアノ伴奏者は長年タックを組んで来た芽依(メイ)

芽依は八歳の時にすでにピアニストデビューをしていて、ピアノの世界では期待の星だ

そんな芽依とは私は何年も前からこんな試験があるたびにタックを組んだ


もちろん、今回も





そして私が小さく頭を下に下げ、息を吸うと………………



芽依は私がどこから始めるかをよくわかっている






まだ三ページ目だというのに腕が痺れる
指が回らない





誰か見てる………………………?






あ 蛍




「ス・ト・ラ・ディ・バ・リュウ・ス!!!」




口をパクパクさせながらそう言ってる




そうよ
もし本当にこれでコンミスになれたらストラディバリウスに触れるんだから





気づけばもう最後の一小節だった





…………………………最後の一音………………………













終わった………









「はい、ありがとうございました
結果は後日に大講堂の壁に張り出されるんで」





「はい………ありがとうございました」