「記憶喪失ですな」

まぁ、薄々わかってたけど…

「頭部に受けたショックによる一時的な記憶の混乱ですよ。一応CTも撮りましたが脳に以上は認められませんでしたし暫く様子を見るしかないでしょうなぁ」

「はぁ」

「では、お大事に」

「ありがとうございます」

ガラガラ…

「ホントになにも覚えてないの?」



「…はい、すいません」

「別に謝らなくてもいいけど……」

「…僕の名前は何て言うのですか?」

「え…あぁ君の名前は景だよ。風弥景」

「け…い…これが僕の名前…」

記憶をなくした景は、なんだかとても弱く見えた…

「じゃあ、今日は帰ろ?もう遅いし…」


「……」

「どうかした?」


「僕はどこにかえればいいんですか?」

あ、そっか

帰る場所も忘れてるんだよね…

私も景の家遠かったから、忘れちゃった…