煙草を吸う横顔に少し見覚えがあるような…気もする?けど。


「ってなになに!?

朱音ちゃん、本社にいたときのお客も覚えてるの!?」



私たちの会話を聞いた、同部門の人たちが会話に入ってくる。


仲良しなバイトの子も、休憩中だったのか便乗してくる。



「まぁ…一応。」


余計なことを、滝上め…なんて思いながら淹れたてのコーヒーを飲む。



「一応なんてもんじゃないだろ!

名前から乗っている車、交通手段、家族構成、それから購入したもの全部覚えてましたよ!!」


滝上さんの言葉に、一同が驚きの声をあげる。


「どうせ今でも覚えてんだろ?」


「…悪い?」


お客様は私に居場所をくれた大切な存在だ。

忘れるわけがない。