私たちのいるバーはカウンターと、個室に別れている。



個室にいた私たちは、そろって左の通路側を見た。




そこには、あのいきなり朱音なんて呼んできた窪田さんがそこにはいた。





「よっ、朱音。今日もお疲れ。」




あの朝からもう二週間ほどたっていただろうか、でも彼は相変わらず私を朱音と呼んだ。



「自分、澤本と同じ会社の窪田と申します。」


ペコっと伊織に頭を下げる窪田さん。



って、私の苗字知ってるんじゃんか。