目の前に誰かが立っているのを気づいて見ると、そこには、大倉さんがいた。

『やっぱり逃したね』

大倉さんはどこか嬉しそうに私を見た。

『本気で飲むのをやめようと思います』

その笑顔見て余計に落ち込んだ。

『まぁー過ぎてしまったことは、しょうがない。これから、どうするの?』

『タクシー代ももう残ってないので、歩いて帰ります。まぁ、一駅なんで。』

『危ないよ。貸してやりたいけど、俺もさっきの店で使ってしまってないだよね』

大倉さんは、財布を見ながら言った。