二件目は断ればよかった。私は、また、終電を逃した。駅に着くと、もう電車はなかった。
お酒を飲まないと大丈夫だが、お酒を飲むと時間を気にすることを忘れてしまう。目の前の楽しいことしか考えていないからだ。

ブーブー

携帯が鳴った。

『はい。元山です』

『元山。電車乗れた?』

『…』

『電話に出たと言うことは、乗れなかったね』

電話の相手は、大倉さんだった。

店を出る前に、終電間に合ったかどうか連絡してと言われていたのを忘れていた。

『乗れなかったです』

私は、低いテンションで言った。