ラーメン屋を出ると、まだ、少し寒さが残っていた。四月といえど、まだ、夜は寒かった。

『ご馳走さまでした』

私は、大倉さんにラーメンを奢ってもらった。

『どうしまして』

大倉さんは笑った。

『あぁ桜』

駅に向かう道には桜並木があり、地元では有名な桜の名称だったりする。毎日、通っている道だけど、いつもと違うのは、大倉さんがいるからかもしれない。恋愛感情はわかないが、大倉さんを少し異性として意識してしまう。
あの日の昼休み。青ちゃんにキスは現実で、その相手は大倉さんだと言われた。