言われなくったって、わかってるよ。
たぶん……いや、絶対、アイツは隣(家)で落ち込んでる。
それがわかってても、やっぱりアニキのように優しく、思うがままに追いかけて抱きしめるなんてこと、出来やしないんだ俺は。
かと言って、そのまま放っていていいなんて思ってないけど――。
「やったぁ! 楽しみっ。どんなコ? ああ、でもやっぱり自分で予想するわ!」
隣に座ってはしゃぐアキラを見て、気付かれないほどの溜め息を吐いた。
ただでさえ。
自分の考えてることなんかを説明するのは苦手なのに。
タイミングすらも奪われると、余計になにをどうすれば正解なのかわかんなくなる。
たったひとこと。
『俺の隣にいろ』
そう言ったあの言葉は、本当はすげぇ頑張った。
……だからもうああいうことはしばらくいい。
そう思ってた矢先のこの状況……。
「ねぇ!」
「は?」
「もうっ。セイジ、久々にあったけど、いつもそんななの?」
頬杖ついて頬を膨らませるアキラを見て、別に嫌いとかではないと思う。
だけど、積極的に話をしようとも特に思わない。
「ごちそうさま。アニキ部屋貸して。寝る」
アキラの言葉を聞き流して席を立つ。
「ええ?! こんな昼間に寝ちゃうの? セイジ」
「まー珍しいことじゃないよ。聖二にぃは不規則だから」
「セイジ」と部屋に入る直前まで背中に聞こえた声に、扉を閉めたあと思い切り溜め息をつく。
――アイツに呼ばれる感じとは全然違う。
そんなことを漠然と感じて、目を閉じた。