「あははは!」


そんな笑い声が耳に届く。

溜め息を隠すように紫煙をゆっくり吐き出すと、タバコを灰皿に押しつけた。


「セイジー」


あー。うるせぇな。
せっかくの休みが、こんな騒がしく過ごすことになるなんて……。

……まぁ、もともと騒がしいけど。


『タバコなんて、体に悪いんだからねっ』。


吸殻に視線を落として思い出したのは、今朝のアイツの言葉。


「たいがいアイツもうるせーし」
「なに? セイジ、なんで笑ってるの?」


戻ろうとしたドアの先に、アキラが腕を組んで立ってこっちを見ていた。


「笑ってる」? 誰が? 俺が?


「? 別に笑ってないけど」
「えー? ウソ! 今、笑ってたわよ? ま、いいけど! コウちゃんがお昼出来たって」


そういうアキラの奥には、ダイニングテーブルに並べられた昼食が見えた。


「あー……」
「すっごい美味しそうなの! 早く食べましょ!」


されるがまま、アキラに腕を引っ張られて椅子に座る。
ちょうどスープを運んできたアニキと目が合うと、意味深な視線を向けられた気がする。


『気がする』、じゃなくて、実際向けられたよな。


アニキがなにを言いたいのか、大体の見当はついてるけど。
どうせ、めざといアニキのことだ。アイツのことだろ?


ふいっとその視線を交わして前を向きなおすと、そこにはアキラが座ってた。