う、うそでしょう…?
あのあと私の家側の壁に耳をくっつけて聞き耳を立ててみたけど、気のせいじゃないみたい。
「は、話し声が聞こえる気がする……」
「よく聞こえないけど男っぽいよね」
「こんなことしてねーで、早く乗り込もうぜ!」
私が聞こえたものが孝四郎くんにも聞こえていたようで。
それを後ろで仁王立ちして聞いていた三那斗が今にも玄関へと向かおうとする。
「三那斗。相手は凶器を持ってたりするかもしれないから危ないぞ」
浩一さんが冷静に三那斗を止める。
「けど、もたもたしてたら逃げられちまうだろ」
三那斗、あんた、勇ましいけど無茶ってもんだよ!
私の家で三那斗に何かあったなんてなったら、綾瀬家に顔向けできないし!
その一心で私は三那斗の腰に腕を回して引き止める。
「や、やめて…」
「ちょ、美佳、離せって…!」
こんな状況でも顔を赤らめる三那斗のウブさが見えた。
…ってそんなこと思ってる場合じゃないって!
「とりあえず警察じゃない?」
こんなときでも冷静なのは他3人。
そしてその提案は孝四郎くん。
「…そうだな。まず警察に―――」
浩一さんが固定電話の子機に手を伸ばしながらそう言った時に、視界の隅で黒い影が動いた。