なんとか気に病んでた面談もおわって、私はお母さんと家に帰った。

お母さんと並んで歩く通学路は、なんだかいつもと違う景色に見えて、新鮮だった。


『美佳は、美佳のペースで行けばいいよ』


帰り道に突然、あの母親らしくないお母さんがそんなことを私に言った。
そのときは、照れ隠しみたいに「はいはい」なんて偉そうに聞いてたけど、その一言はなんだかすごく救われた。

夕陽に横顔を照らされたお母さんをちらりと盗み見て、お母さんって、すごいなって急に思った。

スタイリストっていう仕事をしたい! って、私くらいのときから思って、決めてたのを前に聞いたことあるから。
それを聞いたときは、自分が18になってる想像なんてしてなくて、ただ聞き流していただけだから。


自分の道を決めるのに、早いとか遅いとかで勝負することではないけれど。
でも、やっぱり、遅い自分がなんだか〝ダメな人〟に思えてくる。


――って。そんな今日のことを、お母さんの顔を眺めながら思ってるんだけど。