私はその日から決めた。


 親の仇をこの手で打ち取ってやると…嫁ぐ筈だったそんな矢先…。



 宮廷よりの使者が訪れその魔術師から密かに奪い取ってもらいたいとの依頼があった。




 その役に抜擢されたのが…私の兄だった。



 兄と私はヤツの顔を覚えていたからである。



 でも兄には家族がある…。


 私が生き残っても子孫を後世に伝える事は出来ないかもしれないが…兄にはそれが出来る。



 兄は私に気にするなと言ってくれたけど…兄には父が死んでからも私の為にも家の為にも尽くしてきたんだ…。



 そろそろ自分の事を考えるのもいいだろう…。


 それに…これは私にとって一世一代の晴れ舞台だ。



 悔やんで生きるのにはもう飽きた。


 本望を遂げて父母の冥土の土産にでもしたいものだ…。