その様子に何だか拍子抜けた私は番頭へと近づいた。
「大丈夫ですか…?」
頭だけを番頭から突き出した宿屋の主人はガチガチと震えながら目を泳がせ私を見つめおもむろに頷いた。
「―――なぜこんな事に…?」
宿屋の主人にワケを聞くなり…番頭の机から頭をだして歯をガチガチと鳴らし震えながら声を絞り出して説明した。
「怪しい旅人が…突然…宿舎に来て!!
いきなり攻撃してきたんです!!
妙な施しを使ってました。」
宿屋の主人の声に先程の男性が重なった。
まさか………。
あの時…妙な奴だったが…そんな怪しい雰囲気は感じとれなかった。
宿屋の主人の襟元を掴みその人物を確認する。