宿屋の主人は愛想のよく何度もお礼をいって旅人を部屋に通され入ってきた男は鋭い瞳の無愛想な青年だった。



 季節は‥真冬の為か何重にも布を重ね着していて目元だけを残し全身布に着くずめられて部屋の中をぐるりと見回していた。




 「すみませんねー。

 じゃあ‥よろしくお願いします。」




 店屋の主人は調子よく愛想笑いを浮かべて部屋を出ていった後…残された私とその旅人は視線があい会釈した。



 旅人の青年は‥ひとまず私の前を通り過ぎ様どこからともなく漂う血生臭い匂いが鼻をついた。




 やがて青年は私より少し離れた場所にドカッと音を立てて座り込んだ。