いや、たった一度だけ



伸ばされた手を掴んだことがある。



たった一度だけ。


とても、とても小さな頃に。



それは、心の奥深くに鍵を閉めて封じていた記憶……。


もう何年も触れていなくて(きっと埃かぶっているくらい)

だけどその何年もの間、ずっとあたしを支配していたのだ。