教室のドアを開けると、うるさいくらいの明るい笑い声が溢れてきた。

俺は何人もの生徒たちがそれぞれの休み時間を楽しんでいる風景から翼を見つけだして歩み寄る。

どうやらまた小野坂美優に言い寄られているらしい。

「ハハハ。翼モテモテだなぁ」

「ちっげーよ!」



翼とは一番の親友。

目立つ容姿から割と問題視される翼と委員長の俺はキャラとしては真逆だけどある意味良いバランスなんだと思う。

翼は人見知りはするが話してみると根は真面目で明るいイイやつだ。

それに翼は他人の心を拒絶したりしないから、人の仮面を自然にはぎ取ってしまう能力があると思う。

だから俺は翼といると委員長でも優等生でもない素の自分でいられる。



本人の自覚はないみたいだけど。

とりあえず声を大にして言える自慢の友達。