なんで……?
なんで知ってるんだ……?
前に立ちはだかるクラスメイトを押し退けて中に一歩足を踏み入れると
教室の真ん中で美優が泣いていた。
その周りを数名の女子が取り囲み慰めている。
「最近、翼君ずっと図書室にいるから原田さんとの仲を美優が疑ってたの。だから今日、美優、図書室に2人の後をつけてたんだけど、その時聞いちゃったんだって。翼君が哲をすきだって言ってたのを」
教室中が疑いの目や嫌悪の目で俺を見てる。
ヒソヒソ声があたりに散らばって頭がクラクラする。
視界が歪む。
耳鳴りが酷い。
───闇が笑っている。
哲はまだ教室に戻ってきていないみたいだ。
「あたしのこと騙してたんだ!翼なんか嫌い!だいっきらい!もう顔も見たくない……!」
化粧も落ちた真っ赤な目で美優が叫んだ。