「……あたしじゃないよ。あたしは哲ちゃんを理解ってあげられない…。哲ちゃんがドコにいるのか理解ってあげられなかった」


ぽつり、ぽつりと小雨のように降ってくる言葉。

葵が、遠い。



前にもこんな感覚になったことがあった。

他のヤツが葵と話しているところを見たとき

葵を遠くへ連れて行かれそうで怖かった。

葵がいなくなったら俺はどこへいけばいい?

俺の存在理由は、葵だった。




だから、押しつけた。

力で自分のモノにしようとした。

葵が勝てないことを知っていたくせに。