「哲ちゃん……」



───ずっと聞きたかった声。


重い頭をゆっくり扉にむけると、そこには葵が堅い表情で立っていた。

「……葵」

「………」


2人きりになるのは、もう何年ぶりくらいだろう。

たぶん、あの日

俺が壊れて、葵が泣いたあの日以来だ。