葵を救いたかった気持ちは嘘じゃない。

何の証拠もない言葉だけれども、葵が泣いている姿を見たときのあの頃の俺の衝動は言葉で片付けられるようなものじゃない。


だけど、すこしづつ

すこしづつ気付いてはいたんだ。


葵の手をとることで、自分がヒーローでいられることに。

求められた立場と欲しかった称号が同時に手に入ることに。