「やっ……離れてよ」



肩をグイッと押して少し距離をとる。


たくさん人がいるのにこの男は……っ!
わたしは目立つこと大嫌いなのに!


視線が痛い。
順番待ちをしている人たちの視線が痛い。


後輩の女の子たちにまで睨まれるって……
わたし何もしてないんですけど!




「すげーかわいい」




目を見開かずにはいられなかった。


か、可愛いって……
そんなサラッと言わないでよ。


その甘い顔で甘い声で誰にでも囁いちゃうんだよね、この男は。



いけないいけない。
騙されちゃダメ。



「顔真っ赤。かーわいい」


「っ…………」