「ちょっ、莉乃ちゃん!もういいから!ホントにいいから!」
顔を手で覆って下を向く。
お願いだから早くわたしを解放して。
「だーめ。ほら、じっとして。愛華!日向子のこと抑えつけて」
「はぁーい。ごめんね、ひなちゃん。もう少しの間我慢してね」
トイレにわたしの叫び声が響く。
鏡に映っているのはたぶん……自分。
「うんっ!可愛い!めっちゃ可愛い!」
「わぁ~ひなちゃん可愛いよぉ」
ぱっつんだったはずの前髪は分けられていて右眉が見える。
髪を巻いて学校に来たことはない。
黒髪ストレートだったはずが綺麗に巻かれている。