「明日は早起きして観光しに行こっ!あ、別行動で平気でしょ?」
梨菜さんが小さく首を傾げてわたしと大上くんを交互に見た。
「はい。大丈夫ですよ」
「ちゃんと宿に帰ってきなさいよー。迷子とかやめてよね?」
あはは、と笑って返す。
笑いながらも気になるのは右隣。
黙々と箸を動かす大上くんに視線を向けた。
なんでさっきから黙ってるの?
……やっぱ怒ってる?
せっかくの旅行なのにケンカしたくはないな……
さっきは変な態度とってごめんね、って謝ればいいのかな。
お姉ちゃん達の話に耳を傾けながらも隣にいる存在ばかりに意識がいった。