「おまえさ、その顔とかこうやって男の服の袖掴むのとかやめろよ。とくに水瀬の前ではやるな」
ぺたぺたと自分の顔を触ってみる。
わたしそんな変な顔してたのかな?
そんな見られないぐらいヤバい顔してましたかね。
うわ、なんか恥ずかしくなってきたよっ……
「最後ってのは受験終わるまで日向子にはもう触らないって意味」
「はぁ……」
よく意味が分からず曖昧な返事になる。
……ん?……あぁっ!
お姉ちゃん達が待ってるんだと思い出し、慌てて駆け出す。
飲み物が冷めちゃう!
急げ急げー!
うるさい心臓には気づかないフリをして走るスピードをあげた。
「水瀬になんて渡さねーよ」
ぽつりと呟いたその言葉はわたしの耳に届くことはなかった。
新年、変わりはじめたわたしたちの関係。
大上くんは何考えてるのかよくわからないけど
自分がもっと分からない。