「ほぐれすぎて力が抜けてなければいいですけどね」
「もう! 一言多い!」


 再び眉を寄せた紗也は、和成の腕を叩いた。

 とりあえず機嫌が直ったようなので、二人並んで席に着く。
 和成は紗也に膝を向けると、改めてお願いする事にした。


「紗也様、私がゆうべお願いした事は覚えておいでですか?」

「うん。戦場では和成のいう事を聞けばいいのよね?」

「はい。三つだけ絶対に守って頂きたい事がございます」

「何?」

「一つ目は何があろうと私の指示がない限り戦が終わるまでこの砦からお出にならないで下さい。二つ目は昨日お渡しした電話の電源は決して切らないで下さい。三つ目はできる限り司令所で私の隣にいらしてください」

「できる限りでいいのよね?」