朝陽川学園、2年A組には水沢佳人という、爽やか王子様がいる。
180を超える身長に、スラッとしたモデル体型にミルクティー色のきれいな髪は無造作にセットしてある。
顔立ちはモデル並みの、やんわりとした優しい顔のイケメン。
「水沢くん、明後日の日曜日ヒマかな?」
「その日、最近できたばかりのケーキ屋さんに行くんだけど水沢くんも……どうかな?」
ほら、この短い休み時間だって水沢くんの周りには女の子が集まっている。
そんな水沢くんを、クラスの男子たちは羨ましそうに見つめていた。
「日曜かぁ…… ごめんね、その日は弟と買い物に行く約束しちゃったんだ」
しばし考える素ぶりをして、本当に申し訳なさそうな顔をして謝る水沢くん。
そんな彼の顔をみて、周りにいた女の子たちはハフッ……とした顔になった。
つまりは、水沢くんの笑顔にやられたみたいだ。
ああ、また水沢くんファンが増えたな……。
なんて呑気なことを考えながら、水沢くんを観察している私は、野上 柚子。
「水沢くんってさぁ、あれが素なのかな…」
ボーッとしていると、前の席からそんな疑いの言葉が。
「いきなりどうしたの?サアヤちゃん」
私同様、水沢くん達の方をみながらそう言ったのは友達のサアヤちゃん。
ウワサ好きな、お茶目な女の子☆って本人は言っているけど……。
私的にはウワサ好き、は合っているけど……お茶目というか、腹黒い?
まあ、それを言うとサアヤちゃんは怒るので言わないでおこう……。
「だってさ、女全員お姫様扱いって……あり得なくない?」
「そんなこと言われても……」
怪訝な表情でサアヤちゃんは水沢くんを見ていた。
私は水沢くんじゃないから、わかんないです。
「なんっか、怪しいのよね。水沢佳人」
「サアヤちゃんはすぐ人を疑うんだから… …」
あれがほんとの性格だったら、どうするの。
と、そう思いながらサアヤちゃんと同じようにまた水沢くんを見た。
すると。
……あ。
ちょうどこちらを向いた水沢くんと、目があった。
その瞬間に、水沢くんが私に向かってにこっと笑顔をひとつ。
私はどうしたらわからずに、とりあえずペコッと頭を下げた。
なんでお辞儀しちゃったんだろう……。
自分でも意味わからない。
「あーあ、彼氏ほしいなぁ。車持ちで優しい彼氏」
「ふふっ、サアヤちゃんなら、すぐできるよ」
突如そう大声で言ったサアヤちゃんに私はそう言った。
そんな風にいつもの感じで、私の今週の金曜日は終了したのだった。
「……んー、どれがいいかなぁ」
日曜日。
私は繁華街へとやって来て、サアヤちゃんの誕生日プレゼントを物色していた。
近くの雑貨屋さんに入り、キーホルダーやアクセサリーを見てみる。
サアヤちゃん、ショートだから髪に付けるのは前にいらないって言ってたし……。
キーホルダー、もなんかイマイチ……。
この際、サアヤちゃんの好きな芸能人の律樹くんのブロマイドとかにしようかな。
なんて思いながら、私は店内を見回した。
「ありがとうございましたー」
ラッピングがされた袋を受け取り、店員さんの声に見送られた。
あれから1時間ほど繁華街を回ったあと、サアヤちゃんへのプレゼントも買えて。
私はお店を後にした。
サアヤちゃん、喜んでくれるかな。
と、そんなことを考え鼻歌を歌いながら歩いていると。
ドンッ
「わ……っ!」
思いきり前から来た人と衝突してしまった。
幸い少ししかぶつかってないから、転ばずに済んだけど……。