「タイムカード用にね。いつも入れっぱなし」

「へー…ああいう個人経営っぼいところでも、社員登用あるんだ」

「うち福利厚生はしっかりしてるから。俺、調理師免許もあるし」

「いつもホールなのに?」

「免許はあっても料理より接客のほうが好きだからね」



話しながら見るその社員証には、今より少し若い時らしい顔のハルの写真。それと、『早良春樹』と書かれた名前



「…春樹?」

「?うん。俺、春樹」

「そうだったの?知らなかった…」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「聞いてない。だからずっと早良ハル、なんだと思ってた」

「あーごめんごめん、春樹だからみんなハルって呼ぶんだよね」

「……」