「ピン、上手くついてない」

「へ?」

「少し屈んで」



ついそれを直してあげようと手を伸ばし、その髪に触れた。



(…髪、柔らかい)



「……」

「…、」



近付いた視線に、触れた前髪の感触。それらに思わずドキリとする



「…はい、出来た」

「ありがと」



その時、不意に彼の胸ポケットから覗くのは社員証のようなカード。



「…?そんなの持ってたの?」

「?あぁ、これ?」



そう取り出されたのは、顔写真つきの社員証。