「あっじゃあさ、霞ちゃんのヘアピン頂戴」

「…何でよ」

「それつけるから」

「…私普通の黒いピンしか持ってないし」

「うん、それでいい」

「……」



そう手のひらを差し出す笑顔に、仕方なく私はバッグの中のポーチから黒いヘアピンを一つ取り出す。



「…はい」

「ありがと」



それを嬉しそうに受け取って、彼は髪につけていたピンクのヘアピンと付け替える。

が、上手くピンがとめられておらず変に前髪が跳ねてしまっている。