「もぅ、まだ練習の時間残ってるよ。大会もうすぐなんだから」
海道くんに近づき手を引っ張って、コートに戻ろうとする。
行かせたくない・・・。
「朝比奈?」
気付くと海道くんのユニフォームの裾を掴んでいた。
「・・・ダメ・・・行っちゃダメ・・・」
「ねぇ、その手離してくれない?宏くんは練習があるんだから」
「・・・海道くん、脚に負担かけて・・・これ以上やると痛める・・・だからダメ・・・!!!」
海道くんは私の手を握りながら真美さんの方を見た。
「俺、今日はもうやめとくよ。朝比奈の言うことはよく当たるから」
真美さんは「宏くんが言うなら」としぶしぶ手を放した。