「今まで私の隣に来る男って、金か体か顔か……それだけが目当てだった。でも、翔太は違ったの。私の顔も、金も……全然興味を示さなかった。
初めてだったの、そんな人。だから、どうにかして興味を持たせたくて、パパの力を使って、ね。ズルしたのよ」

「それが、婚約……?」

麗華ちゃんは、コクンと頷いた。

「翔太は気に食わない顔してさ。それでも、婚約者としてあたしの隣にいてくれた。でも、わかっちゃうんだよね。

……翔太が、わたしを見てないことぐらい」

麗華ちゃんの声は、いつの間にか涙声になっていて。

目には、涙が溜まっていた。

「いつでも、私を誰かに重ねていて……すごく悔しかった。初めてだったのよ、こんな風に悔しかったのも、こんな風に、


誰かに好きになってもらいたかったのも」


麗華ちゃんは涙を拭って、あたしの方を真っすぐと見た。

「初めて真優ちゃんを見たとき、なんでこんな子?って思った。あたしの方が100倍可愛いし。
……でも、同時にあたしじゃ翔太を幸せにはできないって気づいたの。




翔太を幸せにしなかったら、許さないからねっ!」





そう笑って言った麗華ちゃんは、すごく可愛くて。

本当に翔太のことが好きだったんだ、って思った。