授業が始まるチャイムと同時に、悠太君は教室から戻ってきた。

「どこに行ってたの?」

「ちょっと電話をね」

電話?? 誰と??

「……真優ちゃん、あのさ」

「ん?」

「……いや、なんでもない」

その時の悠太君は、少し申し訳なさそうで。

苦しそうだった。

お昼休みになれば、あたしは担任から呼ばれて、職員室に向かった。

「せんせーなんですか?」

「豊崎、お前だけだぞーこれだしてないの」

「……はい」

『進路希望調査』

「まぁ、まだ2年だ。ゆっくり決めろ」

「はい。失礼します」


あたしは一礼して職員室を出た。