次の日も撮影がはじまった…。
今日は確か…綺羅が全校生徒の前で私を抱きしめて愛の告白をするシーン…。
ありえない…
そしてその前に綺羅1人の撮影がはいっている。
私はまた椅子に座り、撮影を見ていた。
でも、どうしてもあの女スタッフが気になって…つい目がそっちにいってしまう。
本当危なっかしくて見てられない…。
そしてそんな時…気づいてしまった。
女が立っている後ろに置いてあるセットが、大きく揺れていることに…。
いてもたってもいられなくなって…私が走りだすと、セットの揺れはさらに大きくなって…
ついに倒れてきている…
なのにその事に気づいているのは私だけ…
近づくにつれて…女の服の糸がセットに引っ掛かっているのが見えた。
はぁ…どんだけドジなんだ…
私は女を思いきり押した…
でも、糸が引っ掛かってるからあまり前に進まなくて…
その衝撃でセットが思いきり倒れてきた。
痛っ……
セットは思いきり私に直撃…
おかげで女は無傷で…私の下でうずくまっていた…。
もともと身長が低い私は女スタッフよりも小さいわけで…
正直この体制は…苦しい…
『あ…あ…すすすいません!!!!』
私の下で女は焦りだす。
そしてセットが倒れた事に、現場は騒ぎだす…
『…しっ。』
私は人指し指を口に当てて、静かに と合図すると…引っ掛かった服の糸をセットから外した。
倒れてきたセットがドアの近くにあってよかった…。
もしセットの下敷きになったことがバレたら…大騒ぎになって絶対めんどくさいことになる。